06月24日

いまだに続く台湾番組への抗議 NHKは亡国のメディアか?

いまだに続く台湾番組への抗議 NHKは亡国のメディアか?

2009/06/22(月) 11:05
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=0622&f=column_0622_003.shtml

  東京の大久保にあるお気に入りの台湾家庭料理の店にいったとき、そこで客の台湾人らと昨今の日台関係について議論になった。ある民進党支持者の台湾人企業家はいう。「日本は台湾を見捨てようとしているのか。あの番組をみればそういう気がする」。あの番組とは、NHKのシリーズ「JAPANデビュー」の第一回「アジアの“一等国”」である。

  いまさら説明の必要もないだろうが、台湾が日本統治を受けた歴史のネガティブ面を特集したこの番組は、4月5日の放映日以来、親台湾の日本人や親日本の台湾人から「偏向報道」「捏造報道」「意図的に日台関係を悪化させるために作られた番組」と抗議の声が上がっている。その抗議の声は日増しに大きくなり、先日は自民党の国会議員ら60人以上があつまって「公共放送のあり方について考える議員の会」も発足。番組が放送法第3条の2(政治的公平、事実をまげない報道など)に違反していないかを検討するという。

  この番組は私も見た。確かにNHKらしい自虐史観が根底にながれ、意図的なインタビューのカットや事実誤認もちらほら。ただ、放送局の編集権の自由を大きく逸脱するほど政治的不公平かというと、このくらいのインタビューの刈り込みや脚色、イデオロギー色はこれまでのNHK番組にも多々あった。ただ、テーマが台湾であったということが、放送日から2カ月以上もたって今なお激しい抗議の声が上がっているが理由ではないかと思う。

  今、台湾は中国に事実上、併呑されかけている危機的状況が背景にある。親中国の馬英九(=写真)政権になってから、李登輝、陳水扁ら両氏が少しずつはぐくんできた台湾人アイデンティティと独立への期待がみるみるしぼんできた。関税撤廃を軸とした経済協力枠組み協定(ECFA)が調印されれば経済的にはほとんど統合されるようなものだ。今年8月には、福建省アモイから台湾・金門島までの遠泳大会という平和イベントを理由に、台湾側の軍事防護策が一時撤去されるという。馬総統が2012年に再選されれば、台湾海峡が事実上中国の支配下に置かれる、というのは冗談ではないかもしれない。

  自由と自立を望む台湾人にとっても、日本の安全保障の観点からも、この流れはなんとか食い止めたいのだが、今の米国には中国に抵抗できる余裕がない。せめて日本が台湾との経済的結び付きを強化するなどして、台湾の中国依存度を減少させてほしいと民進党などは期待している。そういう中でNHKが日本の親台湾世論に冷水をかけたわけだ。

  媚中派と呼ばれるNHKが中国からなんらかの利益供与をうけて、日本人の対台湾世論の操作を請け負った、などと陰謀論を言うつもりはない。しかし台湾については、単に表現の自由で片づけられない、日本の安全保障と台湾の未来という切実な問題が絡むということを知っていてこの番組を作ったなら、「公共放送」の皮を被った亡国のメディアといわれても仕方ないだろう。(執筆:中国ウォッチャー 三河さつき)
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【主張】NHK番組 自主的な検証が不十分だ

【主張】NHK番組 自主的な検証が不十分だ

配信元:産経新聞

2009/05/01 07:15

 NHKも民放も放送法などで定められたこと以外は、誰からも干渉を受けず、自由に番組を編集することができる。だが、NHKは特に公共放送として高い公正さが求められている。そのためには、番組内容について多くの外部の意見を聞くことが必要だ。

 また、NHK予算は国会の承認を必要としている。幹部が番組内容について政治家と面談することは、それほど不自然な行為ではない。「重大な疑念」があるとする検証委の指摘は疑問である。

 ただ、検証委が政治的圧力の有無について判断を避けたのは当然だ。最高裁も昨年6月に下した判決で、政治家の介入について判断していない。

 検証委は、NHKと民放でつくるBPO内の3つある組織の1つだ。昨年4月、山口県光市の母子殺害事件の裁判をめぐる報道について「(被害者側に立った)一方的で感情的な放送は視聴者の不利益になる」との意見書を出した。これが公正な意見といえるのかどうか。検証委の結論には引きずられすぎない方がよい。
問題のNHK番組は平成13年1月に教育テレビで放映された。その前年暮れ、東京に元慰安婦や女性活動家を集めて開かれた女性国際戦犯法廷を取りあげたものだ。昭和天皇といわゆる「A級戦犯」を「強姦(ごうかん)と性奴隷制」の責任で弁護人なしに裁いた裁判である。

 幹部の指示で、慰安婦の証言に疑問を持つ学者の談話が加えられるなど、少しはバランスを取り戻したが、それでも「主催者側に偏っている」「教育番組としてふさわしくない」との批判が絶えなかった。これらの批判を受けた自主的な検証は行われていない。

 先月5日に放送された日本の台湾統治に関するNHKスペシャル「アジアの“一等国”」をめぐっても、取材に協力した台湾の元医師らが「日本の功績も話したのにカットされた」などとNHKを批判している。

 BPOの意見にとらわれず、NHK自身が視聴者の立場で番組を真摯(しんし)に検証することが大切だ。
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【正論】鳥居民 NHK特番の傲慢さが悲しい

【正論】鳥居民 NHK特番の傲慢さが悲しい

配信元:産経新聞

2009/04/27 07:19更新

記事本文
 ≪「アジアの一等国」を観て≫

 少し前の話だが、4月5日、NHKスペシャル「ジャパン デビュー」の第1回「アジアの一等国」という番組を観た。

 悲しかった。わたしたちの祖父、曾祖父、高祖父の願いと努力に思い入る気持ちのかけらもない、辺りに人も無げな驕(おご)りぶりが悲しかった。

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記事本文の続き もうひとつ、この番組の制作者が唯一頼りにした出演者である日本植民地時代の台湾の最後の人びとへの気持ちである。当然ながら現在70代、80代の人びとが持ったまことに複雑、微妙な日本にたいする愛情を十分理解したはずであったにもかかわらず、勝手な裁断をおこない、日本の植民地統治を罵(ののし)るために利用し、協力者の善意を足蹴(あしげ)にした、その傲慢(ごうまん)さが悲しかった。

 制作者は、1859年の横浜の開港から日本は「世界にデビューした」のだと説く。そして日本は「一等国」になろうとして、台湾を植民地にしたのだと語る。

 制作者が横浜から台湾へ話をつづけようとするのであるなら、私が思いだすのはアーネスト・サトウのことになる。英国外務省の通訳官となったサトウは、開港3年あとの横浜で日本語を学び、草書の書簡を読むことができるまでになり、薩摩、長州、各藩の国事活動家と語り、日本の進路をはっきり見定め、有能な外交官となるその片鱗(へんりん)を見せた。
 ≪日本に憎しみのない台湾≫

 さて日清戦争が終わった年にサトウは公使となって再び、日本に赴任した。台湾の樟脳(しょうのう)と砂糖、茶、阿片(あへん)を扱う横浜の英国商社の幹部たちと話し合い、日本は台湾の経営に失敗すると予測した。

 そのときヴィクトリア女王統治下の大英帝国は最盛期にあり、世界の人口の4分の1を支配していた。先進国が後進地域を取得し、統治する権利が当然のように認められた時代だった。

 植民地経営は「白人の重荷」であり、英国人に与えられた高貴な責務であった。植民地の人びとに命令を下すことができるのは英国人の行政官だけなのだ、英国人はこのように思っていた。そこでサトウと旧友らは、日本は台湾で清国政府以上のことはできないと語り合ったのである。

 それから100年以上がたつ。日本の台湾統治をどう評価したらよいのか。サトウはといえば、1929(昭和4)年に没していた。かれは自分たちが間違っていたと認めたに違いない。

 台湾の植民地統治は成果を収めた。価値や道徳は絶対的なものではない、あくまで相対的なものだ。日本の統治には失策も、大きな過ち、悲劇もあった。そのような過ち、悲劇を忘れず、民族の共通の意識にその憎しみを育てあげるのだと説く論考がある。たとえば英国人意識の源泉にフランス嫌いがあるのだと主張する。即座に隣国の韓国人意識の底にある日本嫌い、日本の後を追っての競争心を思い浮かべることになろう。

 しかし、わたしたちは、なぜ台湾の人びとが日本に憎しみを持たないのかと考えることになる。

 現在、台湾人は日本の統治時代を声高に非難しない。日本の統治を離れて60年、年若い世代を含めた台湾の人びとが、尊敬する国、移住したい国の筆頭に日本を挙げるのは、かつての日本の統治に不快感を持っていないことが大きな理由なのである。父親や祖母がその昔を語った二言、三言の記憶を自分たちが抱く日本人にたいする印象と重ね合わせて、かれらはその理解を大切にしてきたのだ。

 わたしたちは誰でも、この台湾の人びとの日本人への温かい感情を、嬉(うれ)しく有り難く思う。

 ≪「一等国」の犠牲者とは≫

 さて、奇怪極まることに、NHKの先の番組は、誰もが大事にしてきたこの感情を踏みにじろうとすることに懸命となった。

 日本の台湾統治のすべてを否定し、台湾の人びとは日本の植民地統治に恨みを抱いているのだと説いた。たとえば台湾の人びとが高く評価する台湾における後藤新平を容赦なく裁いてみせる。上水道の整備、灌漑(かんがい)設備の建設を振り返ることなどするはずもない。台湾総督府が独占した樟脳を取り上げ、植民地収奪の話に仕立てることに汲々(きゅうきゅう)としている。

 番組は「皇民化運動」で終わる。公園に集まった老人たちにつぎつぎとその昔の日本の軍歌を歌わせる。かれらは「蛍の光」を歌いたかったのだし、「荒城の月」を歌うこともできた。それにもかかわらず軍歌だけを歌わせ、「アジアの一等国の哀れな犠牲者」と視聴者に印象付け、「日本統治の深い傷」と締めくくる。

 私は制作者の「辺りに人も無げな驕りぶり」「傲慢さ」を悲しく思ったと記した。「驕りぶり」「傲慢さ」といえば、番組の題である「アジアの一等国」、その一等国民が犯した罪の第一に挙げなければならない態度、性向であろう。この制作者の振る舞いこそがまさにその一等国民そのものなのだが、このような人物が「アジアの一等国」を制作したことが、いま悲しく思う理由なのである。(とりい たみ=評論家)
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01月19日

NHK新会長 改革は視聴者の目線で

NHK新会長 改革は視聴者の目線で

中国新聞'07/12/27


 混乱を経て選ばれたNHKの新会長は、アサヒビール相談役の福地茂雄氏である。財界人という経歴は、とりわけ公共性が求められる報道機関のこれからのかじ取りに、どう影響するのだろうか。果たして、現場の士気は上がるのだろうか。

 選考の経緯からして異例だった。NHK経営委員会の古森重隆委員長(富士フイルムホールディングス社長)は「内外から人選する」と言いながら、今月になって財界人の起用を打ち出した。

 唐突であり、十二人の委員のうち二人が「人選のプロセスが不透明」と会見を開いたほどだった。しかもふたを開けてみたら「お友達」とやゆする声が出るほど近い関係の人である。

 これで、NHK本体と、それを監視する経営委との緊張関係が十分保たれるのだろうか。公共放送のトップの選ばれ方自体に疑問が残る。

 ジャーナリズムとほとんど無縁の人であるのも気掛かりだ。NHKはこれまでも政治との距離が議論を呼んできた。だからこそ、いくら政治からの風圧を受けようと、それに屈することなく現場を守る骨太の気概がトップには求められる。これまで主に営業の畑を歩いてきた財界人に、それが期待できるだろうか。

 NHKが直面する最重要課題は「経営改革」である。受信料の未払いを減らしていき、子会社の整理を通じて、肥大化した組織をスリム化できるのか。合理化によるコストダウンで、受信料値下げも早急に実現しなければならない。

 古森委員長が強調しているような「大企業のトップとしての実績」からすれば、力量が期待できるという見方もあろう。ただ企業は「効率主義」を柱に動く。それは費用対効果で測られる。

 そのまま公共放送に当てはめられたら、どうしても陰の部分が出てくるのではないか。地味ではあるが内容が濃い教育番組や、たっぷりと取材時間をかけたドキュメンタリーなどNHKの良心を示すような番組が揺らいでは困る。

 地方の放送局にも影響が及ばないか、心配だ。中国地方では、広島放送局が中心になって地域の問題に切り込む意欲的な番組を、ローカル枠で放映している。地方の現場の士気が落ちるような結果を招いてはならない。

 新会長には、受信料で賄われているNHKの原点に返った視聴者の目線での改革を望みたい。
posted by JOAK at 00:44 | Comment(0) | TrackBack(0) | NHKに対する新聞社説

【主張】NHK新会長 視聴者本位の改革推進を

【主張】NHK新会長 視聴者本位の改革推進を
2007.12.27 03:07
このニュースのトピックス:産経新聞 主張

 組織体制や経営の抜本改革が求められているNHKの新会長に、福地茂雄アサヒビール相談役が決まった。外部からの会長起用は20年ぶりで、橋本元一現会長の任期が切れる来月25日に就任する。

 道半ばの改革に加えて選出過程では混乱も見られた。新会長の船出は順風満帆とは言い難いが、福地氏は「人生最後で最大の仕事として取り組んでいきたい」と抱負を述べている。その決意と手腕にまずは期待したい。

 今回の会長交代には、経営委員会の古森重隆委員長(富士フイルムホールディングス社長)の強い意志が働いた。背景には、橋本現会長との改革方針をめぐる確執があった。

 古森氏の議事運営には経営委員会の一部委員から独断的だとする公然たる批判もあった。全会一致が慣例の新会長選出では異例の展開だった。

 福地氏には、放送やジャーナリズムに無縁だった経歴から、報道機関の代表にはふさわしくないとの反対論もある。事実、NHK会長は現在の橋本氏まで4代、生え抜きが就いてきた。

 しかし、内部事情に通じているがゆえに、国民の目線と離れた身内に甘い経営が続いた側面もあろう。不正経理をはじめ、この数年相次いだ職員の不祥事は、受信料の不払いとなって視聴者の厳しい指弾を受けてきた。

 経営立て直しに向け、昨年スタートした3カ年計画では、企業ガバナンス(統治)の強化とともに、組織のスリム化が主な柱に盛り込まれた。

 だが、公益法人を含め、なお40近いファミリー企業の見直しは、やっと緒についたばかりだ。3000億円近い事業規模の大半はNHKとの随意契約による丸投げの請負だ。厚い内部留保、本体並みの給与水準は、会計検査院からも是正を迫られている。職員の天下り先との批判も強い。

 福地氏は徹底した現場主義、顧客最優先と企業の法令順守で実績を挙げてきた経営者だ。その基本姿勢をNHK改革でも生かせるのかどうか、国民は期待とともに注視している。

 今回の会長交代にNHK内部には少なからぬ不満があろう。だが、改革推進では新会長と職員の間に齟齬(そご)があってはならない。

 再生への道筋を確かにできるかは、その一点にかかっている。
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01月05日

NHK新会長 改革は視聴者の目線で

NHK新会長 改革は視聴者の目線で '07/12/27中国新聞


 混乱を経て選ばれたNHKの新会長は、アサヒビール相談役の福地茂雄氏である。財界人という経歴は、とりわけ公共性が求められる報道機関のこれからのかじ取りに、どう影響するのだろうか。果たして、現場の士気は上がるのだろうか。

 選考の経緯からして異例だった。NHK経営委員会の古森重隆委員長(富士フイルムホールディングス社長)は「内外から人選する」と言いながら、今月になって財界人の起用を打ち出した。

 唐突であり、十二人の委員のうち二人が「人選のプロセスが不透明」と会見を開いたほどだった。しかもふたを開けてみたら「お友達」とやゆする声が出るほど近い関係の人である。

 これで、NHK本体と、それを監視する経営委との緊張関係が十分保たれるのだろうか。公共放送のトップの選ばれ方自体に疑問が残る。

 ジャーナリズムとほとんど無縁の人であるのも気掛かりだ。NHKはこれまでも政治との距離が議論を呼んできた。だからこそ、いくら政治からの風圧を受けようと、それに屈することなく現場を守る骨太の気概がトップには求められる。これまで主に営業の畑を歩いてきた財界人に、それが期待できるだろうか。

 NHKが直面する最重要課題は「経営改革」である。受信料の未払いを減らしていき、子会社の整理を通じて、肥大化した組織をスリム化できるのか。合理化によるコストダウンで、受信料値下げも早急に実現しなければならない。

 古森委員長が強調しているような「大企業のトップとしての実績」からすれば、力量が期待できるという見方もあろう。ただ企業は「効率主義」を柱に動く。それは費用対効果で測られる。

 そのまま公共放送に当てはめられたら、どうしても陰の部分が出てくるのではないか。地味ではあるが内容が濃い教育番組や、たっぷりと取材時間をかけたドキュメンタリーなどNHKの良心を示すような番組が揺らいでは困る。

 地方の放送局にも影響が及ばないか、心配だ。中国地方では、広島放送局が中心になって地域の問題に切り込む意欲的な番組を、ローカル枠で放映している。地方の現場の士気が落ちるような結果を招いてはならない。

 新会長には、受信料で賄われているNHKの原点に返った視聴者の目線での改革を望みたい。
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社説:NHK新会長 公共放送の持つ使命は重い

社説:NHK新会長 公共放送の持つ使命は重い

 NHKの次期会長にアサヒビール相談役の福地茂雄氏の就任が決まった。会長人事を決定する経営委員会は、12人の委員のうち会長任命に必要な9人を上回る10人が賛成した。しかし、古森重隆委員長(富士フイルムホールディングス社長)の運営が強引だとして、2委員が会見を開いて批判するなど、異例の経過をたどった。

 次期会長について古森委員長は、現執行部の中からは選ばないことにした。9月に現執行部が示した経営計画案は、抜本的改革にほど遠いとして、外部登用の方針を示した。

 しかし、外部からの人選は難航した。04年の不祥事発覚以来、世論の批判を浴び続け、国会で答弁しなければならない会長は荷が重い職務だ。戦後初めての受信料値下げという局面を迎えていることもあり、就任を要請した財界人からはことごとく断られたという。

 古森委員長と福地氏はともに長崎に縁があり、アメリカンフットボールなどを通じて親交があったという。その縁から会長就任を依頼したようだ。

 しかし、これでは公共放送のトップを「お友達」の中から選んだことになる。福地氏を他の委員に引き合わせたのが25日午前で、同日午後に採決で決めるという手法も含め、批判を浴びるのは仕方がない。

 古森氏がNHKの経営委員長に就任したのは、安倍晋三前首相を囲む財界人の会のメンバーだったことが影響している。そして、安倍政権時には、総務相を務めた菅義偉氏と、NHK執行部が対立した。

 受信料の2割引き下げを迫ったり、命令放送の実施など菅氏の手法は強引で、ぎくしゃくした関係が続いたが、安倍政権が終わったにもかかわらず、NHKをめぐっては、安倍政権時の確執の構図がそのまま続いているように映る。

 「選挙期間中の放送については、歴史ものなど微妙な政治問題に結びつく可能性もあるため、いつも以上にご注意願いたい」「NHKの番組はあまり見ていない」など、古森委員長の発言は波紋を呼んだ。

 成立した改正放送法で、経営委がNHKの個別の番組編集に介入することを禁じる条項が盛り込まれたのは、皮肉だ。

 不祥事の根絶、受信料引き下げ、不払い・未契約の解消、チャンネルの削減、肥大化した関連会社など、NHKには課題が山積している。20年ぶりの外部からの会長就任で、NHK改革が抜本的に進むことを期待したい。

 しかし、今回の会長人事をめぐっては、水面下で激しい駆け引きが展開された。当然、しこりが残るだろう。

 NHKは報道機関でもあり、公共放送として重い使命を担っている。NHK内部の意思疎通が滞り、運営が混乱すれば、視聴者は迷惑するばかりだ。

毎日新聞 2007年12月26日 東京朝刊
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10月20日

NHK改革/値下げ論議にとどまらず

NHK改革/値下げ論議にとどまらず
2007/10/09 神戸新聞
http://www.kobe-np.co.jp/shasetsu/0000685055.shtml


 橋本元一会長らNHK執行部は、重苦しい気分で秋を迎えたことだろう。なにしろ、受信料の値下げを含む次期経営計画案(二〇〇八-一二年度)が先月末、経営委員会から突き返されたのだ。極めて異例の事態といっていい。

 経営委員会はNHKの最高意思決定機関だ。視聴者を代表し、NHKを監視、監督する強い権限を持つ。委員は首相の任命で、現在は古森重隆委員長(富士フイルムホールディングス社長)以下、十二人いる。

 次期経営計画案は、〇八年度以降の単なる経営計画ではない。職員の不祥事で失った信頼をどう取り戻すか。三割を占める受信料不払いへの対応策、放送と通信の融合、人口減少社会でのメディアのあり方など、幅広い課題への取り組みを示すことも求められていた。

 話題を集めたのは、NHKで初めてとなる受信料の値下げである。執行部の計画案は、受信料を月額で一律五十円値下げし、口座振り替えだと、さらに五十円引き-などの内容だった。

 しかし経営委員会は、視聴者の納得する値下げ案と受け止めなかった。一層の経営合理化で、もっと思い切った値下げが可能だろう。そう問いかけていたが、執行部との意見はすれ違ったままだった。

 例えば、NHKには三十四の関連団体がある。健康保険組合を除く三十三団体の利益剰余金が二〇〇五年度で計約八百八十六億円に上ることが、明らかになっている。会計検査院は「本体の財政に寄与させることが望まれる」と指摘した。

 もっともな提起であり、合理化による経費削減に関連団体の、この「寄与」が加われば、さらに踏み込んだ判断もできる。再考の余地はあるとみるが、どうだろう。

 どうしても値下げの話題に関心が集まりがちだが、経営委員会が「ノー」とした他の理由を忘れてはいけない。

 とくに公共放送としての将来ビジョンを不十分と批判している点に注目したい。番組内容やチャンネル数についての具体的な考えがはっきりしない、という指摘である。NHKへの期待が大きいことの裏返しと思えるが、突きつけられたさまざまな疑問に執行部はしっかり答えるべきだろう。

 値下げが遅れ、残念に思う視聴者がいるかもしれない。しかし、いま大切なことは値下げ幅の議論ではなく、世界屈指の巨大メディアを、どう再生させるかである。

 執行部と経営委員会が、これまでにない緊張感を持って話し合うのはいいことだ。その場しのぎでない論議に期待したい。
神戸新聞
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09月27日

【明解要解】NHK中期経営計画 経費削減で受信料値下げ?

受信料の値下げはあるのか、衛星放送のチャンネルは削減されるのか−。NHKが、平成20年から5年間の経営方針を定める中期経営計画の策定作業を進めている。計画は放送が完全にデジタル化される平成23年を見据えて作成されるもので、最終的にはNHKの最高意思決定機関である経営委員会(古森重隆委員長)が議決し、9月末に公表される。ここでNHKが自身の将来像をどのように描くのか−に関心が集まっている。(文化部 岡本耕治)

 経営計画の内容で、もっとも注目を浴びているのが受信料の値下げ問題だ。今年1月に菅義偉総務相が受信料支払いの義務化と引き換えに2割の減額を要求したが、NHKの橋本元一会長は「財政的な根拠が見つからない」と拒絶していた。

 その後、NHKでは「値下げなしでは世論は納得できない」(幹部)と判断し、先月下旬、経営委員会に対し、いくつかの値下げのシミュレーションを示した。しかし、値下げ幅は50円から100円程度でしかなかったため、古森委員長は「100円の値下げが視聴者の切なる願いとは思えない」と、NHKの方針に疑問を投げかけている。

 NHKは現在、視聴者からの意見を募集する目的で、「NHK次期経営計画の考え方」をホームページに掲載した。これを見ると、現在570万件ある訪問集金を来年10月で廃止するなど、さまざまな経費削減を実行して、5年間で900億円以上を削減。その上で「5年間を通算して黒字が見込めれば、その分を“還元”したい」という表現になっている。つまり、還元の方法は明らかにしていないものの、値下げにも含みを持たせた記述。今後、経営委員会での議論の行方が注目を集めそうだ。

                   ◇ 

 もうひとつ、焦点となっているのは、NHKが現在抱える衛星放送のBS1、BS2、BShiの3チャンネルの削減問題だ。地上波とラジオを合わせると8つのチャンネルを持つNHKに対し、肥大化を指摘する声は大きく、昨年6月には、通信・放送についての政府・与党合意で、NHKのBSチャンネルは「難視聴解消用のチャンネル以外を対象に(削減の)検討を行う」と明記された。

 その一方で、「民放のBS放送の大半がテレビショッピング番組であり、良質な番組を供給しているNHKのチャンネルを削減する必要があるのか」という反対意見も根強い。

 総務省は政府・与党合意に基づく形で「NHKの衛星放送の保有チャンネル数の在り方に関する研究会」を7日に立ち上げたが、ここでも「NHKのチャンネル削減は民放による過剰な商業化、娯楽化を招くのでは」「映像の圧縮技術が進み、電波の希少性という前提は変わりつつある」というように、削減に否定的な意見も出された。

 NHKの「考え方」では「チャンネル数の多寡ではなく、視聴者サービスの低下をきたさないことが大前提」とし、3波体制の維持も示唆する表現となっているが、日本のBSのあり方自体が問われる問題であり、議論は難航しそうな気配だ。

                   ◇

 NHKは経営計画に対し、視聴者からの意見を募集している。応募はホームページ(www.nhk.or.jp/css/keiei)、または郵送(〒150−8001 NHK経営計画 意見募集係)で。31日午後5時必着。

                   ◇
08/24 13:17産経新聞
posted by JOAK at 19:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | NHKに対する新聞社説

【主張】NHK受信料 値下げの前になすべき事

NHKが受信料制度の創設以来初めて独自の値下げ案を打ち出した。具体的内容は明らかにされていないが、月額で最大100円の引き下げが検討されているもようだ。

 制作費の着服や乱脈経理など相次ぐ職員の不祥事で、NHKに対する世論の風当たりは依然厳しいものがある。値下げも結構だが、NHK自身が誓った肝心の内部改革は果たして着実に進んでいるのか。視聴者から問われているのはまさにその点だ。

 NHKの最高意思決定機関である経営委員会の古森重隆委員長は、値下げ案への感想を問われ、「まず公共放送としてNHKが今後何をなすべきかをはっきりさせ、その上で料金も考えていく姿勢が重要」と述べた。当然の見方であろう。

 NHKは昨年1月、経営のスリム化と企業統治の強化を主な柱とした経営計画を発表した。しかし、職員の不祥事はそれ以降も後を絶たないのが実情である。

 確かに受信料の不払いは減少の方向にある。平成17年度に6024億円まで落ち込んだ受信料収入は、昨年度に6138億円まで回復した。昨年から始めた不払い者への民事訴訟手続きも効果を発揮しているようだ。

 しかし、それでも不払い率は依然として対象世帯の3割に近い。NHKは、5年後には支払い率が70%台後半まで回復するとみているものの、これで改革は視聴者の理解を得ていると胸を張れるのだろうか。

 NHKが値下げ方針を固めた背景には、菅義偉総務相の強い意向がある。総務相はこれまで、受信料の支払い義務化を放送法改正に盛り込む見返りとして、「2割程度の値下げ」をNHKに求めてきたからだ。だが、その総務相自身が今回の値下げ幅に不満を隠していない。

 NHKは今後、経営委員会の承認を得た上で一般の意見を募り、9月にまとめる新たな中期経営計画に値下げ案を盛り込みたいとしているが、先行きはなお不透明だ。

 「100円や200円の値下げが視聴者の切実な要求になっているとは思えない」。古森委員長が指摘するように、NHKに望むのはまず「良い番組や信頼性のある経営」だ。NHKは何か大きな勘違いをしていないか。

07/26 06:02産経新聞
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03月20日

NHK受信料 「値下げ」に危うさ潜む 信濃毎日新聞

NHK受信料 「値下げ」に危うさ潜む

2月21日(水)信濃毎日新聞

 受信料の値下げをめぐって、NHKと菅義偉総務相が神経戦を繰り広げている。値下げは一見、歓迎できることのように思えても、支払い義務化とセットとなると問題が出てくる。NHKが“国営放送”の色彩を強め、視聴者から遠くなるようでは本末転倒だ。

 事の起こりは、不正支出、カラ出張など職員の不祥事に怒った視聴者による受信料不払いの広がりだ。約100万件にも達している。

 受信契約を結ぶべきなのに契約していないケースや、経済的理由での不払いなどを合わせると、契約対象の約3割が払っていない。不公平をなくし経営基盤を強化するためにも支払い義務化は必要だ、という議論はかねてあった。

 そこに新たな一石を投じたのが、菅総務相の値下げ発言である。

 法律を改正して支払いを義務化すれば不払いは減り、NHKの収入は増える。その分、2割くらいは受信料を下げられるはずだ。そんな意味のことを言っている。

 値下げに消極的だった橋本元一NHK会長も「視聴者への還元の一つの方法として肯定的に検討したい」など、このごろは前向きの姿勢を見せるようになってきた。

 視聴者としては、ここは慎重でありたい。2割の値下げは、結構なことには違いない。ただし、義務化されると受信料は税金に近づく。NHKの在りようも変わる。

 NHKはそうでなくても、政府・与党からの自立が不十分だと批判されてきた。例えば、従軍慰安婦を扱った番組についての訴訟で東京高裁は先日「国会議員の意図を忖度(そんたく)して番組を改編した」との判決を下している。

 日本人拉致問題では、政府が放送命令を初めて発動してもいる。受信料支払いが義務化されれば、政府との距離の保ち方は一段と鋭い問題になってくる。

 不払いの問題は見方を変えれば、視聴者からの信任・不信任の意思表示とも言える。視聴者の支持と関係なく一定の収入が確保できるとなれば、NHKと視聴者との関係はこれまでより遠くなりかねない。

 NHKがこれから先、国民全体に奉仕する自立した放送局、報道機関であり続けることができるかどうか−。受信料義務化の根っこにあるのは、この問題だ。

 政府は受信料値下げとセットにした支払い義務化の放送法改正案を、開会中の国会に提出する構えでいる。公共放送はどうあるべきか、政治との適切な距離をどうすれば保てるか、深い議論を与野党に求める。
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02月04日

番組改編判決 公共放送の信頼が揺らぐ

番組改編判決 公共放送の信頼が揺らぐ

1月30日(火)

 特集番組の編集をめぐり、NHKが編集権の独立を自らなげうった、とする司法の判断が示された。憲法がうたう表現・報道の自由を揺るがす事態である。

 NHKは視聴者、国民に向けて、何があったのか、一部始終をきちんと説明する責務がある。

 争われているのは、太平洋戦争中の従軍慰安婦問題を扱った6年前の特集番組、「戦争をどう裁くか」だ。国内外の非政府組織(NGO)が開いた模擬裁判を取り上げ、教育テレビで放送した。

 これに対して取材を受けた民間の主催団体が、政治的圧力で事前の打ち合わせと大きく異なる番組に改編されたと主張。NHKと制作会社2社に損害賠償を求め、NHKへの請求を棄却した一審判決を不服として控訴していた。

 二審の東京高裁はきのうの判決で、当時のNHK幹部が番組放送前に国会議員らと接触し、議員から番組は公正・中立であるようにとの発言があったことを認めた。

 その上で、当時の放送総局長ら幹部が相手の発言を必要以上に重く受け止め、「その意図を忖度(そんたく)して」、当たり障りのない内容にしたと述べた。NHKの予算などへの影響を考えての改編、との判断も示している。

 国会議員は、当時官房副長官だった安倍晋三首相らだ。判決によれば、NHK幹部が安倍氏らの胸の内を推し量り、加害者の元兵士の証言などをカットする改編を行ったことになる。番組に対する主催団体の期待や信頼を損ない、改編についての説明義務も怠った。

 東京高裁は一方で、原告が主張した番組づくりへの政治家の直接介入については、「認めるに足りない」として退けた。とはいえ、結果的に政治家の発言で番組内容が変わることがまかり通れば、放送の公正・中立が保てなくなる。

 放送法は三条で、番組編集の自由を明記している。どんなテーマを取り上げ、どう扱うかは、誰にも干渉されない。公正か、中立かは、視聴者が判断することである。

 NHKと制作会社2社に賠償を命じた判決に対し、NHKは「番組編集の自由を制限するもの」などとして上告する意向だ。憲法で保障された編集権限をはき違えているのではないか、疑問が募る。

 視聴者はいま、受信料の支払い義務化で国営放送化が進まないか、心配の目で見ている。特集番組は公正な立場で編集した、と主張するなら、事実関係を丁寧に説明すべきだ。視聴者に支えられる公共放送としての誇りを示してほしい。

信濃毎日新聞 (2007年1月30日)
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【NHK番組改編】報道姿勢が問われた

【NHK番組改編】報道姿勢が問われた

 従軍慰安婦を扱ったNHKの番組改編問題で、東京高裁は、原告で取材に協力した女性団体「『戦争と女性への暴力』日本ネットワーク」の訴えを認め、NHKなどに200万円の損害賠償を命じた。

 この番組はNHKの当時の放送総局長ら幹部によって、当初の内容から大幅に改編されて放映されたものだが、この改編に安倍晋三官房副長官(当時)ら政治家の圧力があったかなどで問題化した。

 同高裁は政治家の直接的な介入は証拠がないと退けたが、「公平、中立の立場で報道すべきだ」との指摘を必要以上に重く受け止め、政治家の意図を忖度(そんたく)して当たり障りのない番組に改編した、と断じた。

 改編は「編集権を乱用、自ら放棄したに等しい」とし、NHKの姿勢を強く批判した。同時に取材された者の「期待権」を認め、NHKはこれを不法に侵害したと認定した。

 判決で注目されるのは編集権と取材された者の期待権という相反しかねない2つの権利に、高裁として一定の判断を示したことだ。

 編集権は取材、報道の自由の帰結として憲法上も保障され、取材対象者が何らかの期待を抱いても、そのことで編集、制作は不当に制限されないと期待権より上位にあることを認めた。

 その上で、期待権に関して、取材対象者が期待を抱くのもやむを得ない「特段の事情」が認められるときは、編集の自由も一定の制約を受けるとし、制作当初の趣旨説明とは異なる意図からの改編は、この特段の事情に当たるとする。

 期待権を拡大解釈すれば、取材対象者の意向が取材を制約するということになり、報道の自由にもかかわる。今回の判決はあくまで例外としなければならない。

 そもそも報道に携わる者として、政治家の意図を忖度、これによって番組を改編するなどあってはならないことで、「自ら編集権を放棄した」とされても仕方がない。

 NHKが政治に対して弱腰なのは今回だけではない。ラジオの国際放送で、北朝鮮の拉致問題を取り上げるよう、総務相の放送命令を受けた時もほとんど反論しなかった。

 予算の承認権を国会に握られている事情もあろうが、むしろこれは体質の問題のように思える。NHKは上告したが、まずは高裁判決を重く受け止めることから始めなければならない。

高知新聞 (2007年1月31日)
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NHK番組訴訟・「期待権」表現の自由懸念も

NHK番組訴訟・「期待権」表現の自由懸念も

 従軍慰安婦を扱ったNHKの番組改編問題をめぐる損害賠償訴訟の控訴審判決で東京高裁は、番組制作会社だけでなく、NHK自体にも賠償責任を認め、NHKと制作会社2社に計200万円の支払いを命じた。
 同訴訟では、番組の取材に協力した女性団体「『戦争と女性への暴力』日本ネットワーク」(東京)が「内容が当初の説明と大きく異なり、改編された」としてNHKなどに計4000万円の損害賠償を求めていた。NHKは控訴審判決を不服として直ちに上告した。
 判決は「NHKが国会議員らの意図を忖度(そんたく)して当たり障りのない内容にした。憲法で保障された編集権を乱用し、自ら放棄したものに等しい」と断じた。
 取材対象者が報道内容に自分の意見などが反映されることを期待する権利(期待権)について、「編集の自由は憲法上も尊重され、保障されなければならない」としながらも、「対象者が期待を抱くのもやむを得ない特段の事情が認められる時は、編集の自由も一定の制約を受け、番組内容への期待と信頼が法的に保護される」と結論付けている。
 公正・公平であるべき報道機関が、権力による圧力で筆を曲げるようなことは決してあってはならないし、編集権の独立は死守しなければならない一線だ。
 報道機関が権力におもねるようになれば、チェック機能を果たせず、公器としての存在価値を失ってしまう。
 判決は、NHK予算の国会審議に影響を与えたくないとの思惑から、幹部が国会議員に接触した際、番組作りは公正・中立であるようにとの(国会議員の)発言を必要以上に重く受け止めた―と認定している。
 事実であれば、政治家への迎合にほかならない。編集権の放棄と言われても仕方ないだろう。
 だからといって、取材対象者の「期待権」が拡大解釈され、いたずらに認められれば、表現の自由が侵されかねない。
 報道機関は公正・公平の姿勢を貫き、公器としての信頼を失わないよう努力する必要がある。

琉球新報 (2007年1月31日)
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報道・編集の自律堅持せよ

報道・編集の自律堅持せよ

 「NHKが国会議員らの意図を忖度して当たり障りのない番組内容にした。改編の経緯からみれば、憲法で保障された編集権を乱用し、自ら放棄したものに等しい」。NHKにとって東京高裁判決は、報道・編集の自由の根幹にかかわる厳しい内容となった。

 従軍慰安婦を扱った番組の改編をめぐり、取材に協力した「『戦争と女性への暴力』日本ネットワーク」(東京)がNHKと制作会社二社に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決は、NHKと制作会社二社に計二百万円の支払いを命じた。制作会社一社だけに百万円の支払いを命じた一審判決を変更するものだ。

 特集番組「戦争をどう裁くか―問われる戦時性暴力」(NHK教育テレビ二〇〇一年一月放送)は、「女性国際戦犯法廷」を紹介。原告は当初、法廷の冒頭手続きから判決までを取り上げると説明されたが、昭和天皇の戦争責任を指摘した判決などが削除された。

 NHKは予算承認を国会に握られており、政治と近くなりすぎる危険性をはらんでいる。判決は、原告の「政治家が番組内容に直接介入した」とする主張は、「認めるに足りる証拠はない」として退けたものの、「国会議員などの『番組作りは公正・中立であるように』との発言を必要以上に重く受け止めた」として、政治家への過度の配慮から自己規制したと認定した。

 判決はまた「原告の番組内容に対する期待や信頼を侵害し、説明義務も怠った」とした。取材対象者が自分の意見などが反映されることを期待する権利(期待権)について「放送局の編集の自由が不当に制限されることはあってはならない」とした上で、ニュース番組と異なり本件のようなドキュメンタリー番組などでは「取材当初の説明と懸け離れた内容となったケースでは、例外的に保護される」とあくまで限定的なものとして認めた。

 報道・編集の自由は民主主義の根幹を成す。NHKは上告したが、政治に一定の距離を置き、国民のための公共放送としての自律が求められる。

沖縄タイムス (2007年1月31日)
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01月31日付 番組改編訴訟 「政治との距離」問われる

01月31日付 番組改編訴訟 「政治との距離」問われる

 従軍慰安婦を扱ったNHKの番組が改編されたとして、取材を受けた市民団体が賠償を求めている訴訟で、東京高裁がNHKと制作会社二社に計二百万円の支払いを命じた。

 この問題をめぐっては、二〇〇五年一月に朝日新聞が「政治的圧力で改編された」と報道したことから、二審の高裁では政治家の関与の有無が新たな争点になった。

 判決は、政治家が番組内容に直接介入したことは認めなかった。しかし、NHKが安倍晋三官房長官(当時)らから「公平、中立の立場で報道すべきだ」と指摘を受け、「発言を必要以上に重く受け止め、その意図を忖度(そんたく)して当たり障りのない内容にした」と認めた。

 一審は、直接取材した制作会社一社だけに賠償責任を認めていた。高裁は、制作会社を排除して改編したNHKに最も重い責任を認めた。

 高裁判決の通りなら、取材先や視聴者を裏切る行為だ。報道機関としての自主性、独立性が問われる。

 国会に予算承認権を握られているNHKは政治家に弱い、という批判は以前から少なくない。判決を真剣に受け止めてもらいたい。

 NHK側は上告したが、信頼回復のためには自ら厳しく検証し、視聴者に説明しなければならない。

 政治家も発言の影響力の大きさを自覚すべきである。

 一方、高裁が「期待権」を認めたことも注目される。取材される側が、報道内容に自分の意見が反映されることを期待する権利だ。

 判決では「特段の事情が認められるとき」には期待権が法的に保護されると指摘した。期待権が広く認められれば、取材現場が委縮しかねない。「特段の事情」が政治家などに拡大解釈される恐れもある。

 取材相手に必要な説明を徹底するなど努力を重ねながら、報道の自由を守る必要がある。

徳島新聞 (2007年1月31日)
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01月29日

NHK受信料義務化 放送の独立性守れるか

NHK受信料義務化 放送の独立性守れるか '07/1/13中国新聞社


 総務省は、NHKの受信料について、値下げを条件に支払いを義務化する放送法改正案を、今月末開く通常国会に提出する方針を固めた。

 ただ、前提条件の二割程度の値下げには、NHKの橋本元一会長が早速難色を示した。受信料が義務になれば「税金」に近づくような面も出てくる。番組内容に政府が介入する口実にもなり、放送の独立性が脅かされないか心配する声もある。なぜ義務化が必要か、国民にきちんと説明すべきだ。

 NHKの運営は現在、95%以上が受信料収入で賄われている。政府や企業など特定のスポンサーに頼らず、公共放送として独立性を保つためだ。現行の放送法では、テレビを設置した人を対象に「NHKとの受信契約」を義務付けているが、支払いについては義務化していない。公共放送の役割を視聴者に説明し、自主的に協力してもらうことで維持されてきた。

 受信料不払いが問題になってきたのは、番組制作費の詐取事件などNHK職員の不祥事が二〇〇四年夏以来相次いだのがきっかけだ。怒った視聴者に便乗組も加わって不払いが激増し、ピーク時は百二十八万件に達した。

 その後、NHKの経営陣は一新され、改革が進められた。不払いは、最近の推計でやっと百万件を切るまでになってきた。視聴者の信頼回復が、何よりの妙薬であるのは言うまでもあるまい。

 それにしても払っている人がいるのに、いつまでも不払いを放置しては公平性が保てない。簡裁を通じた督促などの方法には、やむを得ない面があるのも現実だ。義務化もその延長線上にある。

 一方、制度上の矛盾を指摘する声もある。「NHKを見ない権利もあるのではないか」。テレビがあるだけで義務が生じる点で、納得しにくい面があるのも確かだ。災害など緊急時の報道の「公共性」は理解できるが、ネット時代で代替手段もないわけではない。希望しない人には妨害信号で受信できなくすればいいのでは、という主張もある。義務化する前に整理すべき課題もありそうだ。

 公共放送のあるべき姿は何か。安倍政権は、北朝鮮による拉致に留意し短波ラジオで重点的に取り上げるよう、個別具体的な「命令」を初めて出した。放送の独立性を崩しかねない介入だ。時の政権に左右されず、報道の自由が守られてこそ国民に信頼されることを、あらためて肝に銘じたい。
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受信料義務化・報道の自由は守れるのか

受信料義務化・報道の自由は守れるのか

 菅義偉総務相は、NHK受信料の支払いを義務化する放送法改正案を25日召集の通常国会に提出する方針を表明した。
 支払い義務化は税金とほぼ同じ形だ。税金に近い受信料で運営したら、国から独立した報道機関としての役割が果たせるか不安だ。自主自律を貫く責務がある報道、放送に大きな懸念が残る。
 現行の放送法で、NHK放送を受信できるテレビがある世帯、事業所は受信契約を結ぶことが定められている。ただ支払いは義務化されておらず、不払いの罰則はない。
 菅総務相は受信料義務化の狙いについて、受信料を支払っている人とそうでない人の不公平感の解消を図ることを挙げた。制作部門の一部子会社化など経営のスリム化、受信料の値下げも示した。
 見直しの発端は、元プロデューサーによる番組制作費の着服、不正支出、カラ出張など不祥事が相次ぎ、受信料不払いが増えたことにある。
 受信料義務化は、不払いに歯止めをかけるとともに、不公平感の是正、経営の透明化を求める必要があるとの判断が働いている。
 不祥事があってはならないのは当然だし、経営の透明化は、視聴者の信頼を得るために欠かせない。信頼を失ったら、報道機関として失格だ。
 戦前、戦中、国の報道機関への介入、言論統制により、報道の使命を果たせなかった苦い経験がある。受信料義務化で、報道の自由が脅かされるのでは、との懸念は消えない。
 北朝鮮による拉致問題をNHK短波ラジオ国際放送で重点的に取り上げるよう、昨年11月、菅総務相が命令を出した。放送法では、総務相が放送命令できることになっているが、具体的な内容を示して命令したのは初めてだった。
 この命令自体、報道の自由を脅かしかねない。受信料義務化は放送命令を容易にし、国の介入に拍車を掛けないか。
 放送法改正の前提となる受信料引き下げにNHKの橋本元一会長は否定的見解を示した。義務化導入には、報道の自由とのかかわりを含め、慎重な審議を期すべきだ。

(1/12 9:54)琉球新報
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01月05日

NHKが経営計画/外圧はねのけ自主再建を

NHKが経営計画/外圧はねのけ自主再建を


 NHKは二十四日に発表した三カ年の経営計画で、収支改善見通しやコーポレート・ガバナンス(企業統治)改革などを打ち出し「自主再建」の意欲を強くアピールした。政府や自民党などの「外圧」による改革論議が本格化、受信料支払い再開の動きは出てきたものの、今後の経営を不安視する声が職員の間で後を絶たない。不祥事を機に揺れた巨大メディアは、難題を抱えながら信頼回復と経営安定へ向けた厳しい道のりを歩む。

 ▽改革論議

 「NHKの総力を結集してつくり上げた。身を削り主体的に改革を断行していきたい」。経営計画を竹中平蔵(たけなか・へいぞう)総務相に提出後、同日夜にNHKで記者会見した橋本元一(はしもと・げんいち)会長は、計画の仕上がりに自信を見せた。

 人員削減など身内に厳しい内容を盛り込んだ。外部からの役員招聘(しょうへい)の検討は、上層部内での激しい議論の末に決まった。六十四ページに及ぶ計画書からはNHKの意気込みが伝わってくる。理事の一人は「やるだけのことはやった」と力を込める。

 こうした動きの背景にあるのは、政府や自民党からの改革論議だ。通信と放送の在り方などを検討する竹中総務相の私的懇談会は二十日に初会合を開催。二十三日の会合はNHK改革がテーマに設定され、NHK内部では「経営計画の発表前日にぶつけてくるなんて、嫌がらせだ」との声が相次いだ。

 そんな状況下、可能な限りの改革施策を盛り込むことで外部の動きを制したい。計画書からは、NHKの切実な思いが浮かび上がる。

 ▽切り札の思惑

 NHKが満を持して出した経営計画。ただ、その中で、内部からも不安視されているのが収入に関する見通しだ。事業収入の大半を占める受信料収入が、〇七、〇八年度で約百億円ずつ回復すると予測。受信料不払いは今回減少に転じる見込みとなったものの、「収入がこれほど良くなる理由がない。甘すぎる」(NHK幹部)。大西和幸(おおにし・かずゆき)営業局長は、記者会見で百億円の根拠を問われると、「あくまで目標」との説明にとどめた。

 その見通しを達成できるか否かは、受信料不払い者や未契約者の動向次第。受信料不払いの場合、計画には民事手続きによる支払督促を「今年四月以降」申し立てると記載。だが、記者会見で督促を実行する世帯数や条件などは明らかにされなかった。

 非公表には理由がある。仮に督促の対象を不払いの期間や金額で線引きすれば、新たな不公平感が視聴者間に生まれる可能性がある。督促の法的措置はなかなか抜けない“伝家の宝刀”だが、これをてこに支払いを促進したいとのNHKの思惑がのぞく。

 ▽現場に危機感

 ただ受信料収納で各戸を回る地域スタッフは憤りをあらわにして言う。「そんなに簡単に不払いが解消するはずがない」

 不祥事で視聴者から厳しい言葉を浴び続け、集金ができずに歩合給も減った。この間、全国で四百人以上の地域スタッフが職を辞していった。「抜本的改革は必要。だが受信料制度が崩れれば職を失う」。ジレンマを抱えながら、不安な思いで改革の行方を見守る。

 番組制作の現場もこれまで通りではない。制作費維持のため出張費や物品費の削減にスタッフが取り組んできた。だが経費削減は今後、さらに徹底される。あるプロデューサーは「これ以上ぞうきんを絞られても、何も出ないよ」とぼやく。

 そんな中、優良番組の再放送を増やすことで制作費をカットする一方、「ニュースウォッチ9」を新設。若手職員が改革を求める思いを形にした番組「つながるテレビ@ヒューマン」も始めた。番組づくりを通じて視聴者の信頼を回復し、経営を安定させたい。視聴者第一主義を掲げるNHKの正念場はこれからだ。

東奥日報 (2006年1月24日)
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12月16日

信濃毎日新聞 社説=受信料督促 信頼をむしろ損なう

社説=受信料督促 信頼をむしろ損なう

 一連の不祥事などで膨らんだ受信料の不払いで、NHKが初めて法的手段に訴えた。簡易裁判所への支払い督促の申し立てである。

 不払いは主に、NHKの側に原因が求められるだけに、強制的な対応はかえって視聴者の不信を広げる。力ずくで臨むことには、慎重であるべきだ。

 法的措置は、ことし一月に決めた二〇〇六年度から三年間の経営計画に明示していた。説得が受け入れられない場合の最後の方法、との位置づけだ。

 対象世帯が督促に応じなければ、強制執行も含め滞納額の回収に乗り出す。手始めは東京二十三区内の三十三世帯だが、本年度内に神奈川県、大阪府にも広げる。その後、全国にも拡大していくという。

信濃毎日新聞 (2006年12月3日)

 支払い督促について、NHKは「公平負担」を理由に挙げる。不払いや未契約をめぐる不公平感は、視聴者側も問題にしてきた。

 ただ、強制措置によって解消しようとすることには賛成できない。ここでは理由を三つ挙げる。

 一つは、政府が検討中を進めている支払い義務化とも絡む疑問だ。強制となれば受信料は「税金」の色彩を帯び、NHKも「国営放送」に一歩近づく。公共放送の土台をゆがめることになる。視聴者が望む方向ではないはずだ。

 強制の色が濃くなると、料金を支払った人だけが番組を視聴できるスクランブル化を求める声が強まることも予想される。スクランブル化へ進めば、視聴者を区別することなく放送を届ける使命が揺らぐ。

 二つ目は、法的な対応は対象者すべてに及ばないと、新たな不公平を生む恐れがあることだ。

 いわゆる不払いは、契約対象の三割、千三百五十万件に及ぶ。このうち受信契約を結んでいない「未契約」は一千万件近い。

 法的措置をすべてに適用するのは、事実上不可能だ。心理的な圧力を狙って、一罰百戒的に支払い督促に踏み切ったとすれば、姑息(こそく)なやり方である。

 三つ目に、強制的な措置はNHKと視聴者との信頼関係をむしろ壊す心配が大きい。

 受信料で支えられる公共放送は国民の共有財産だ。NHKがいま考えなければならないのは、いわば公共財としての役割に磨きをかけ、信頼されるメディアになることだ。視聴者に権力的に向き合うのは、方向が逆である。

 NHKは経営改革に当たり「公共放送としての自主自律」を掲げている。それが何を指すのか、分かりやすく説明するのが先決だ。
posted by JOAK at 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | NHKに対する新聞社説
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